ネックの反りについて
- Osugi music instruments
- 6月3日
- 読了時間: 5分
いつもお世話になっております。
Osugi music instrumentsの大杉です。
今回のテーマは調整で一番多いネックの反りについてです。
演奏性にも影響を及ぼすネックの反りはどのようなタイプがあり、どのように影響するのか?そして気になる修正方法はどんな方法があるのか?
簡単に触れていきたいと思います。
<反りのタイプと症状>
まずは代表的な反りのタイプについて触れていきましょう。
一番メジャーなのが
順反り
ネックは一部の機種を除いて木材で出来ていますので弦の張力で徐々に引っ張られて反りが強くなってきます。ただ、この順反りは適度には必要な反りで、弦の振幅時にフレットと干渉しないように逃がす役目を持っています。反りが強すぎると弦とフレットの距離が遠くなり、抑えづらさや押弦時の音程の狂い(#方向へのズレ)を引き起こす場合があります。
次にメジャーなのが
逆反り
逆反りは秋~冬の空気が乾燥し、寒くなる時期に起こりやすいです。
症状としてはローポジションでのビビりです。
夏場のネックは熱と湿気で順反りが強くなるので、そのネックの状態に合わせてトラスロッドで反りを修正すると冬場の環境では逆反り状態になる場合が多いです。
ここで、ついでにトラスロッドについても軽くご説明しておきますと、ネックの反りを調整するための機構の事です。
メーカーによってタイプは異なりますが、レンチを使って反り具合を微調整する事ができます。
<フェンダー>

<ギブソン>

代表的なトラストッドはこんな感じです。
さて、反りのタイプの続きですがここからは少し複雑になります。
捻じれ
以外と意識されにくい症状ですが最も多いです。
程度の差はあれ、どんな機種でも見られます。木材ですのである程度は仕方ないです。ただ、あまりにも症状が進むと1弦側は逆反りで6弦側は順反りして高音弦側は音詰まりして低音弦側は弦とフレットの距離が遠くなり押さえづらいなんてことも。(逆パターンもあります)
続いて
波打ち
これはトラスロッドが効かない範囲で反りが起きていて、効く範囲で相殺するように調整されて波打っている場合が多いです。(トラスロッドの仕込みや埋木が悪い場合にも起こります)
フレットに目立った減りや浮きが見られないのに広い範囲で音詰まりが出たりしている時にネックを見ると波打っている事があります。
お次は
ハイ跳ね・元起き
こちらはトラスロッドの効かないネックのヒール付近やジョイント付近で順反り方向に反ってしまう現象です。
弦高が高くなり、ハイポジションで音詰まりが発生するのが特徴です。
<修正方法>
ここからは気になる修正方法について触れていきましょう。
順反り
軽度であればトラスロッドで調整すればOKです。
トラスロッドで修正しきれない場合にはアイロン調整を行うのが一般的な修正方法です。
アイロン調整に関しては過去のブログでも書かせて頂きましたが、ネックの張力が働く方向に反っている場合は比較的短期間で元に戻ってしまいますので、当工房ではアジャスタブルロッドのないアコギやガットギターの反り修正で行う手法(フレット溝やフレットタングで反り具合を調整)を用いて物理的に順反りに耐久性を持たせる処置を行わせて頂く事が多いです。
指板を削るのも物理的に修正する方法でこちらの方が恒久対策としては一般的ですが、指板の厚みが薄くなるとネックの反りに対する耐力が落ちるので削りは最小限に抑えるのが望ましいです。
反りがあまりにも酷い時は指板面の削り修正とフレットタングや指板のフレット溝調整の併せ技で対処しています。
トラスロッドを結構締めても順反りが改善しない場合には無理に締めこまず、緩めてお近くの工房へご相談下さい。構造的にトラスロッドではそれ以上修正出来ない場合が多く、それ以上締めるとロッドのネジや溶接が切れてトラスロッド交換になってしまう事もあるので見極めも大切です。ご自身で行う場合は特にご注意を!!
逆反り
逆反りはOne-Wayトラスロッドで緩める方向に余裕があればトラスロッド調整で修正可能です。2000年以降から様々なグローバルメーカーで2Wayトラスロッドが採用され始め、逆反りしたネックを順反りさせる事が出来るモデルもあるのでその場合は緩める方向に回し続けると抵抗が出てきて順反り方向の反りを修正できます。
One-wayトラスロッドで逆反りが修正できない場合はアイロン調整が有効です。
捻じれ
捻じれに関しては軽度にどの楽器でも起きていますので、ネックアイロンやフレット上でストレートを出したりして改善する事が可能です。症状が酷い場合にはアイロン調整と指板の削り修正の併せ技で行う場合が多いです。
波打ち
波打ちの場合はすり合わせや指板修正で処置する場合が殆どですが、症状が酷い場合はアイロン調整と指板修正の併せ技で修正する場合もあります。
ハイ跳ね・元起き
ハイ跳ね・元起きは、デタッチャブルネックの場合すり合わせや指板修正を行い処置します。セットネックの場合は一般的にはデタッチャブルと同様ですが、サドルを下げきった状態で弦高が高い場合にはネックリセットをご提案させて頂いています。
ざっと代表的な症状と修正法に触れてきましたが如何でしたでしょうか。
一言で反りと言っても様々な反り方があり、程度や修正レベルによって処置内容も様々あります。
日々自分の楽器に触れていると状態の変化に気付き難いかも知れませんので、お近くの楽器店や修理工房で定期的に点検してもらうと現在の状態を知れたり必要な調整・修理を提案してもらえるので良いかと思います。
皆様のより良い音楽ライフの一助となれば幸いです。


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